REM睡眠行動異常症(れむすいみんこうどういじょうしょう)

眠っている間に暴れる!

どんな病気?

眠っている時に夢をみると、その夢の内容通りに体が動いてしまう病気です。
楽しい夢・おだやかな夢であればいいのですが、こわい夢・腹の立つ夢などをみると、布団を蹴飛ばしたり、立ち上がろとしてベッドから転落したり、ひどい時には一緒に眠っている人を殴りつけたりしてしまうことがあります。

何が原因なの?

くわしい原因はわかっていません。今のところ、脳、中でも「脳幹(のうかん)」と呼ばれる、原始的な脳の機能が障害されることによって起こるといわれています。

REM睡眠行動障害とは異なりますが、よく似た異常行動を起こす原因として、アルコールや薬の影響、てんかん発作、睡眠時遊行症(夢遊病)などがあります。
診察を受ける際には、現在服用されている薬やこれまでの病気・嗜好品について、正確に担当医にお伝えください。

検査が必要なの?

REM睡眠行動異常症を疑った場合、検査は大きく分けて2種類のものをおすすめしています。

  1. 睡眠の検査:REM睡眠行動異常症かどうかを睡眠の検査によって診断します。脳波・呼吸・体の動きなど、たくさんの生体情報をモニターしながら一晩眠っていただきます。入院が必要です。
  2. 脳の画像検査:REM睡眠行動異常症では、ふつう脳の画像を調べても異常は見つかりません。
    ごくまれに脳腫瘍や脳卒中などが原因になっている場合がありますので、念のために頭部MRI検査をおすすめしています。

その他、必要に応じて検査を追加する場合があります。くわしくは担当医におたずねください。

ケガをしないために

寝室を整理整頓し、ぶつかると危険なもの・投げてしまいそうなものを片づけておきましょう。
ベッドよりも布団を敷いて眠る方が安全です。アルコールは症状をひどくしますので控えましょう。

ご家族の方に知っていただきたいことは、暴れている最中でも、ご本人は比較的簡単に起こすことができるということです。うしろから軽く肩をたたいてあげる程度で目覚めさせることができる場合が多いので、起こしてあげるとよいでしょう。

治るの?

REM睡眠行動異常症をおこす脳の機能障害そのものを元に戻すことは今のところできません。しかし、症状をしっかり抑えてくれるお薬があります。

当センターの診療

当センターには、REM睡眠行動異常症を疑って、多くの患者様が受診されています。大阪府全域・和歌山県・奈良県・兵庫県の医療機関からも患者様をご紹介いただいております。

当センターの診療の特徴は、以下の4点です。

  1. 初めての診察では、患者様・ご家族から丁寧にお話をうかがって、お話だけでこの病気かどうかをある程度見きわめられるよう努めます。この段階でREM睡眠行動異常症の特徴・注意することなどもご説明します。
  2. 診断のために睡眠検査をお受けいただく場合、REM睡眠行動異常症の診断のために検討を重ねて決定した検査手順によって実施しております(睡眠時無呼吸症候群など、他の睡眠の病気の診断のために実施される睡眠検査よりも多くの検査機器・手順を用います)。
  3. 脳の画像は、当院と緊密に連携している脳の専門病院に撮影を依頼し、神経放射線医学の専門医と協力して読影・診断しています。
  4. さらにくわしい脳・神経の診療が必要な場合には、近畿大学医学部付属病院(神経内科・メンタルヘルス科など)をはじめ、専門性の高い医療機関と連携できる体制を確保しております。

当院ではREM睡眠行動異常症の専門診療を行っております。診療を希望される患者様は、外来スタッフまでお気軽にお問い合わせください。