睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠中の男性イラスト睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に無呼吸つまり呼吸の停止または低呼吸が起こる病気です。
定義上、1晩平均して1時間当たり5回以上または7時間の睡眠中に30回以上無呼吸があるとSASと診断されます。

平成15年2月の新幹線運転士居眠り運転事故以来、この病気に対して大きな関心が寄せられています。ここでは、睡眠時無呼吸症候群についてその病態や検査・治療について説明していきます。

睡眠時の状態

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の原因は?

最も多い原因は睡眠中の上気道の閉塞または狭窄です。
閉塞・狭窄の原因としては、肥満や扇桃肥大・アデノイド増殖症による慢性的な上気道の狭窄、鼻アレルギー・蓄膿症・鼻中隔彎曲症などの鼻疾患、下あごが小さいといった骨格的問題などさまざまです。アデノイド増殖症や蓄膿症、骨格的問題はしばしば小児にも見られます。したがって、SASは大人だけの病気でなく幼児や小児にも発症します。
SASの原因を表す図

SASの症状は?

代表的なものをいくつか示します。

①いびき

いびきイラスト気道が完全に閉塞しない場合(低呼吸の時)に周囲の組織が呼吸によって震えるために起こります。大きないびきをかくようであれば要注意です。

②日中の眠気・だるさ

睡眠中の無呼吸のため息苦しくなり一瞬目が覚め呼吸が再開されますが、また入眠することによって無呼吸が起こるそしてまた目が覚めるということを繰り返します。

睡眠中に息が止まる

そのためしっかりとした睡眠をとることができないので、日中の眠気が起こります。
最近疲れやすかったり集中力の低下、会議中や車の運転中などに眠たくなったりしませんか?
海外のシミュレーションでは、SASの人はそうでない方と比べると交通事故をおこす確立は6.8倍になるとの報告があります。

会議中や車の運転中に眠くなる

③起床時の頭痛・頭重感

頭痛のイラスト呼吸が止まることによって血液中の酸素濃度が低くなるため、頭痛の症状として現れます。
この頭痛は、起床時に最も強く活動的になると改善していきます。

④夜間の頻尿

何回も目が覚めるため、交感神経が頻繁に刺激され尿意を感じます。

⑤その他

起床時の口渇感、寝相が悪いなどがあります。幼児や小児においては胸部か陥没する漏斗胸(ろうときょう)やオネショ・発育不良なども挙げられます。
また、睡眠の不良から集中力の低下や倦怠感など日常生活の質(QOL)に悪影響を及ぼします。

よくある質問

呼吸が止まったまま死んでしまうことがありますか?

心不全・脳心血管障害のイメージイラスト無呼吸自体で死んでしまうことはありません。
無呼吸が長期的に続くことによって、体に負担がかかり高血圧や糖尿病などの病気が併発したり不整脈や心不全・脳心血管障害(脳梗塞や心筋梗塞)などを引き起こし突然死を起こすことが問題になっています。

脳・心血管障害は3~4倍の罹患率があり、1時間当たり20回以上呼吸が止まっている人が無治療で放置している場合、10年後には40%の人が死亡しているというデータもあります。

SASの検査はどんなものですか?

検査には、簡易的な機械でおおまかに判定するものや精密検査で1晩の状態を検査するものがあります。

簡易型検査

自宅で検査できますが異常が見つかった場合には精密検査が必要になります。

精密検査

一晩入院しての検査となります。SASの検査所見はこちら。

SASには治療法がありますか?

軽症の場合は、ご家庭での工夫や生活習慣の改善で効果の見られる場合があります。
たとえば、ダイエットやなるべく横を向いて寝る・枕を低くする・アルコールを控えるなどです。
また、SASではしばしば睡眠の途中で目覚めてしまうことがあり、不眠の原因となることがありますが、SASと診断された場合には、SASの治療なしで睡眠薬を使用することはおすすめできません。たばこは喉の炎症の原因となり、SASを悪化させることがわかっていますので、たばこを吸われる方には禁煙をお勧めしています。
このような対策でも効果が得られない場合には、鼻マスク療法(NCPAP療法)やマウスピース・外科手術などがあります。
SASの治療法

SASの治療法

NCPAP療法

日本語では、経鼻的持続陽圧呼吸療法と表現します。名前の通り機械から持続的に陽圧(風圧)を鼻に取り付けたマスクへ送り閉塞した気道を広げるものです。
内科的治療ですから痛みを伴わず、治療開始翌朝から効果があります。

NCPAP療法の様子

NCPAP療法イラスト

マウスピース

下あごを少し前に引き出し、狭くなった気道を確保します。

外科的手術

気道が狭くなる原因となっている、肥大した扁桃腺やアデノイドを手術によって取り除きます。成人での長期的な効果はまだはっきしていません。

のどの手術:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術 UPPP

のどの手術:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術手術前と後の比較口蓋垂(喉ちんこ)を切り取り、その周囲の組織を縫いつけてのどの入り口を広げます。
喉の部分で気道が狭くなっている場合にはある程度の効果が期待できますが、さらに奥の部分が狭くなっている場合には有効率は大きく低下します。
無呼吸を半分に減らすことができる可能性はおよそ50%といわれています。

自己診断チェック

SASは、珍しい病気ではありません。患者数は日本人の1.7%と言われており、これは200万人にあたります。
SASは、ただのいびきの延長上のものと安易に考えられがちですが、QOLに悪影響を及ぼしたり様々な合併症を引き起こしたりする危険な病気です。
自分だけは大丈夫と思わないで、自己診断チェック表の内容に当てはまることがいくつかあれば早めに専門医のいる医療機関を受診することをお勧めします。

自己診断チェック表
1 よくイビキをかいている
2 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
3 日中はいつも眠い方である
4 起床時に頭痛がする
5 車を運転中に信号などで停止したときに、眠ってしまったことがある
6 日中、全身に倦怠感がある
7 夜中に何度も目が覚めてしまう
8 寝相がわるい
9 息苦しそうに寝ていると言われたことがある
10 集中力や作業能力の低下を感じる
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